これまで霞ケ浦で記録された魚類は約八十種で、琵琶湖の六十四種より多く、かつて汽水湖で海とつながっていたことを反映しています。
しかし近年の淡水化と富栄養化により霞ケ浦の魚類相は急速に貧弱になりつつありま す。一九八六年度の県内水面水産試験場の調査では、四十六種しか確認できませんでした。同じ内水試による一九七七年度の調査では七十一種でしたから激減したことになります。
この間に、姿が見られなくなったのは、コノシロ、ヒイラギ、シマイサキ、キス、コチ、クサフグなどの海産ないし汽水産の種で淡水化の影響が表われています。また、カマ ツカ、シマドジョウ、カジカのように清水の砂地に生息する種も消えました。ヘドロの堆積や溶存酸素量の減少によるものです。
種類だけでなく数量的にも減少し、稀にしか見られなくなったものが多い中で、舶来種 のブラックバスとブルーギルが増えています。この二種は水質悪化に強く、他の魚の卵や 稚魚を食べるので漁業者に嫌われます。こうしたギャングのような魚種が増えて、在来種 が消えてしまうことはさびしいことです。
これを単なるノスタルジーにするのではなく、身近に生息していた生物種の減少を、「地球の仲間が消えていくのは由々しい環境問題」とする意識の高さが、今、流域住民に求められているような気がします。
新利根川、ブラックバス、ブルーギル釣り風景。