霞ケ浦、利根川水系のワカサギは、太平洋側の分布の南限になっています。日本海側の南限は、島根県宍道湖です。
ワカサギはキュウリウオ科に属し、キュウリウオ、シシャモ、チカ、アユもその仲間です。この科の魚は、北方の沿岸域、汽水、河川、湖沼に生息し、遡河性であぶらびれがあるなど、サケ科に近い生活様式や形態を持っています。また、キュウリウオ科の名のとおり、味は淡白で芳香があります。
霞ヶ浦のワカサギは、最後のウルム氷期(一〜七万年前)の遺残種と思われます。産卵期は一月〜三月で、流入河川の水深二十〜四十センチの砂礫底や水草を産卵場とします しかし、霞ケ浦の流入河川は、ヘドロで汚れ、透明度の低下や除草剤の影響で、水草が極端に減っていますから、ワカサギのよい産卵場はほとんどありません。
漁協では、諏訪湖のワカサギ卵を取り寄せ、人工孵化、放流を行いました。しかし、こうした努力にもかかわらず、霞ケ浦のワカサギの漁獲量は低迷しています。その最大の原因は、湖水の汚染などで、生態系全体がワカサギの生息に適さなくなっていることです。
霞ケ浦の浄化運動は、ワカサギがたくさん生息し、安心して飲める湖水に戻すことを、第一目標にすべきです。
昭和40年代までワカサギ漁していた帆曳船。現在は観光のみ運行。