霞ケ浦が富栄養化する以前、特に夏季には、水生植物が沿岸の湖面をびっしり被い、船外機のスクリューに水草がからまって進まなくなることもたびたびでした。
また、化学肥料が多用される前は、沿岸の農地の肥料に、水生植物、とくに沈水植物や浮葉植物が利用されました。その採取作業は藻(モク)採りと呼ばれ、かなりの重労働だったということです。この藻採りによって、相当の窒素、リンが除去されていました。
現在は、富栄養化とアオコ発生による透明度の低下、酸欠、除草剤、それに湖岸工事に伴う生態系のかく乱のために、全体的に植物相が貧弱になっています。
その中で、沈水植物のうち、富栄養化に強いコカナダモ、オオフサモ(帰化植物)、エビモが流入河川にわずかに残っています。浮葉植物の中では、ヒシ科の三種とリンドウ科 のアサザの回復が大きいようです。特にアサザは、牛堀地先、美浦村の安中地先、北浦の 大洋村地先などで大きな群落が定着し、盛夏には一面に美しい黄花を咲かせています。
また、在来種のミズアオイ(ホテイアオイに近い種)は、高浜入や土浦入でよく見かけるようになり、夏に紫の花を咲かせています。アサザやミズアオイは、親水公園には欠かせない植物になるでしょう。
霞ケ浦の水生植物相は、全体としては貧弱ながら、最近少しずつ復活しつつある印象を 受けます。湖岸工事が九割以上進捗して、それなりに沿岸の生態系が安定してきたことと、わずかながら水質改善の兆しが見られるためと思われます。
霞ヶ浦の水生植物(国土交通省・霞ヶ浦河川事務所より)
湿性植物