霞ケ浦の流域(五十六本の流入河川の集水域)面積は二千百六十九平方キロと、湖面積 の約十倍で、茨城県総面積の三分の一に当たります。流域には四十五市町村(茨城県四十二、千葉県二、栃木県一)が位置し、約八十五万人が生活して諸産業活動を行っています。一方、琵琶湖の流域は滋賀県全体にわたり、人口は約百七万人です。 また、霞ケ浦の平均水深は約四メートルと浅く、スープ皿にたとえられ、湖容積は約八億立方メートルです。琵琶湖の平均水深は約四十一メートルで深い丼鉢にたとえられ、湖容積は霞ヶ浦の約三十五倍の二百七十五億立方メートルもあります。
このように、数字(諸元)の上で二つの湖を比べてみると、霞ヶ浦の方は浅く少ない水量に加えて低地にあり、流域人口が多く、古くからの諸産業活動によって森林が失われ、種々の土地利用が進み、窒素やリンが河川を通じて流入し、富栄養化しやすいことがわかります。しかし、平均滞留日数は二百日(琵琶湖は二千日)と短いので、流れがあれば水 質悪化は進みにくいともいえます。
霞ケ浦の水質は昭和五十七年(一九八二)の富栄養化防止条例の施行以来、横ばい状況 です。来年(平成二年、一九九〇)度は、条例見直しの年ですが、茨城県のシンボルの一つである霞ケ浦の浄化に全県をあげて取り組みたいものです。
左・琵琶湖(丼鉢)と右・霞ヶ浦(スープ皿)・地図の縮尺は同じではありません