霞ケ浦に生息する多くの魚類が減少する中で、逆に増えているにもかかわらず、あまり歓迎されないのは、ブラックバスとブルーギルです。
このうち、ブラックバスは一九二五年に箱根の芦ノ湖に北米から移入され、戦後のルアー釣りブームで他の湖沼に広がりました。霞ケ浦でも十数年前から増えはじめ、小魚、エビ、カエルなどを食べるため、生態系に著しい影響を及ぼしています。また、かつてナマズやライギョが占めていた生態学的地位を奪い、これらの魚種の減少の一因になっています。
ブラックバスの繁殖のもう一つの秘密は、オス親が、底泥に十数センチメートルの巣を作り、卵や仔魚を守り育てることです。他の魚種が卵を産みっぱなしで、他の魚(特にブラックバスやブルーギル)に卵や仔魚を食べられてしまうことが多いのに対し、卵と仔魚の生存率が格段に高くなっています。
ブラックバスは、スポーツフィッシングの対象魚として若い釣り人に人気があり、生き餌を使わず、手を汚さないため、最近は若い女性の姿も目立つようになりました。この魚はスズキ科に近いバス科に属し、白身でムニエルなどにすればおいしい魚です。釣りあげたら、ぜひ料理にも挑戦してほしいものです。
霞ケ浦や北浦は、近年ではブラックバス釣りの名所として有名で、毎年六月には釣り大会が開催され、首都圏からの参加者が多くなっています。
霞ヶ浦の外来魚
霞ヶ浦の外来魚による生態系崩壊 春日 清一 著
国立環境研究所ニュース・霞ヶ浦の外来魚による生態系崩壊 (2001年度 20巻4号)
「オオクチバス,ブルーギルに続くペヘレイ,アメリカナマズ(チャンネルキャットフィッシュ)の2種による在来魚種に及ぼす影響は驚異的である。」とある。
定着が確認されている外来魚
霞ケ浦における近年の外来魚問題 荒山和則、岩崎 順 著(2012)
タイリクバラタナゴ Rhodeus ocellatus ocellatus
オオタナゴ Acheilognathus macropterus
ハクレン Hypophthalmichthys molitrix
ソウギョ Ctenopharyngodon idellus
アオウオ Mylopharyngodon piceus
チャネルキャットフィッシュ Ictalurus punctatus
ペヘレイ Odontesthes bonariensis
オオクチバス Micropterus salmoides
ブルーギル Lepomis macrochirus
カムルチー Channa argus