もくじ

表紙
1・霞ヶ浦の地誌
2・古代の霞ケ浦
3・霞ヶ浦の民俗・信仰

4・霞ヶ浦と洪水

5・霞ケ浦の水運

6・霞ケ浦の水生植物

7・霞ケ浦の野鳥
第二十九話
浮島湿原にタンチョウ飛来

8・霞ケ浦の魚・貝類
第三十話
半分近く減った魚類
第三十一話
湖水汚染でワカサギ激減
第三十二話
産卵期迎えたクルメサヨリ
第三十三話
繁殖するブラックバス
第三十四話
何でも食べるブルーギル

9、霞ケ浦の漁業

10、霞ケ浦とアオコ

11、霞ケ浦の富栄養化
12、霞ケ浦の化学物質汚染
13、霞ケ浦と農業
14、地球環境と霞ケ浦
15、常陸川水門
16、霞ケ浦の水利用
17、流域開発と環境容量
18、霞ケ浦と文学・映画
19、霞ケ浦の市民運動
20、よみがえれ豊かな霞ヶ浦

第三十三話   繁殖するブラックバス

 霞ケ浦に生息する多くの魚類が減少する中で、逆に増えているにもかかわらず、あまり歓迎されないのは、ブラックバスとブルーギルです。

 このうち、ブラックバスは一九二五年に箱根の芦ノ湖に北米から移入され、戦後のルアー釣りブームで他の湖沼に広がりました。霞ケ浦でも十数年前から増えはじめ、小魚、エビ、カエルなどを食べるため、生態系に著しい影響を及ぼしています。また、かつてナマズやライギョが占めていた生態学的地位を奪い、これらの魚種の減少の一因になっています。

 ブラックバスの繁殖のもう一つの秘密は、オス親が、底泥に十数センチメートルの巣を作り、卵や仔魚を守り育てることです。他の魚種が卵を産みっぱなしで、他の魚(特にブラックバスやブルーギル)に卵や仔魚を食べられてしまうことが多いのに対し、卵と仔魚の生存率が格段に高くなっています。

 ブラックバスは、スポーツフィッシングの対象魚として若い釣り人に人気があり、生き餌を使わず、手を汚さないため、最近は若い女性の姿も目立つようになりました。この魚はスズキ科に近いバス科に属し、白身でムニエルなどにすればおいしい魚です。釣りあげたら、ぜひ料理にも挑戦してほしいものです。

 霞ケ浦や北浦は、近年ではブラックバス釣りの名所として有名で、毎年六月には釣り大会が開催され、首都圏からの参加者が多くなっています。

 

霞ヶ浦の外来魚

霞ヶ浦の外来魚による生態系崩壊 春日 清一 著

国立環境研究所ニュース・霞ヶ浦の外来魚による生態系崩壊 (2001年度 20巻4号)

「オオクチバス,ブルーギルに続くペヘレイ,アメリカナマズ(チャンネルキャットフィッシュ)の2種による在来魚種に及ぼす影響は驚異的である。」とある。

定着が確認されている外来魚

霞ケ浦における近年の外来魚問題 荒山和則、岩崎 順 著(2012)

タイリクバラタナゴ  Rhodeus ocellatus ocellatus
オオタナゴ      Acheilognathus macropterus
ハクレン       Hypophthalmichthys molitrix
ソウギョ       Ctenopharyngodon idellus
アオウオ       Mylopharyngodon piceus
チャネルキャットフィッシュ  Ictalurus punctatus
ペヘレイ       Odontesthes bonariensis
オオクチバス     Micropterus salmoides
ブルーギル      Lepomis macrochirus
カムルチー      Channa argus