昔、帆曳き船の漁師だった古老の話では、霞ケ浦の湖底には地下水の湧出口が何カ所もあり、潜ると冷たい水が噴出していたということです。しかし湖水が汚濁した現在ではその位置を確認することはできません。
三十年前、土浦市の大岩田にあった遊泳場は遠浅で、水が澄み、足でタンカイを掘ると、ひんやりした地下水が湧いてくるのが感じられたと語る人もいます。
出島村田伏にある水産加工場で使用している地下水は、塩分濃度が高く、化石水ではな いかと言われたこともあります。田伏から、牛渡、崎浜にかけての台地下の集落の地下水 は、シブ水と呼ばれて飲用には適さず、上水道が完成するまで、この付近の人々は苦労し ました。また、神栖町の息栖神社の湧水はよく知られていますが、やはり塩分濃度の高い水です。
このように霞ケ浦には相当の地下水の湧出がありますが、その量は、県公害技術センターの山本哲也氏(現霞ケ浦対策課)によると、河川流入量の一〜二パーセント程度と推定されています。山本氏の調査によると、湖底から湧き出す水量は、場所や時期により著しく変動するということです。また、湧出水の水質は必ずしも良好とは言えず、COD、窒素、リンの濃度が高く、霞ケ浦の富栄養化に寄与する量としては、河川水が運んでくる量の一〜二パーセントかそれ以下と試算されています。
大岩田にあった国民宿舎・水郷、東日本大地震の後、取り壊された