萩市・郊外地区
萩市内には歴史的な町並みが平安古地区、堀内地区、浜崎地区など、多くの古建築が保存され、歩いてゆっくりと見学出来て楽しい町である。また、萩市の郊外当たる部分にも歴史的な古建築が点在している。萩城から山口に向かう萩往還街道沿いにある佐々並市が国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されている。黒川には国指定の森田家住宅、阿武川には阿武川歴史民俗資料館に茅葺きの民家が保存されている。
森田家住宅(国指定重要文化財) 阿武川歴史民俗資料館(市指定文化財)
森田家は、石見吉見家の浪人だった森田対馬が、旧黒川村を開拓した功績により代々庄屋を勤め、苗字帯刀を許された家柄で、毛利藩主鷹狩の際には、休憩所や本陣にあてられたという。母屋は、18世紀中期の建築で、土間の隣りは式台付きの玄関がある。座敷は立派で、特に、奥座敷は「藩主御成間」は意匠をこらした格調高いものである。
阿武川歴史民俗資料館(郷田家住宅)は、昭和49年(1974)に完成した阿武川ダムの建設に伴い水没予定地となった川上村高瀬集落から移築された山村農家住宅である。阿武川流域は耕地が少なく、四周を険しい山に囲まれた平家の落人伝説が残る山村であった。整形四間取で通り土間を持ち、土壁を多用して、平野部の農家に近い造作である。
萩反射炉(国指定史跡) 萩市郊外マップ
萩藩は安政2年、反射炉の操業に成功していた佐賀藩に藩士を派遣し、鉄製大砲の鋳造法伝授を申し入れるが、拒絶され、反射炉のスケッチのみを許された。現在残っている遺構は煙突にあたる部分で、高さ10.5mの安山岩積み(上方一部レンガ積み)。オランダの原書によると、反射炉の高さは16mで、約7割程度の規模のもの。反射炉の遺構は、萩のほか韮山(静岡県)と旧集成館(鹿児島県)にあるだけで、わが国の産業技術史上たいへん貴重な遺跡である。