山口市近郊
山口市の周辺にも文化財の古建築が多く、ここでは平清水八幡宮、古熊神社。その他、伊勢神宮より勧請した山口大神宮、龍福寺の移築された本堂がのあった天台宗興隆寺、県指定されている清水寺など見所が沢山ある。
平清水八幡宮
社伝によると、本社の創建は平安時代の大同四年、或は貞観元年、宇佐八幡宮から勧請されたと伝えられている。境内に平清水という名水があり、常に水面が水平で、日照りや長雨の時にも水量に増減のないところから、社名にしたという。本殿(国指定重要文化財)は三間社流造りの本殿で、木割が太く、構造は雄建で簡素、室町時代15世紀中期頃の建立とされる。蛙股は宝珠やぼたんが透かし彫りになっていて、平面的である。蛙股の彫刻の形式は時代が古いことを物語る。
平清水八幡宮拝殿
古熊神社
社伝によると、大内弘世が14世紀後半に、京都の北野神社から神霊を迎え、山口の北野小路に祀ったのが創始であるという。その後、東山の麓御石の森に移ったが、1618年(元和4)に毛利秀就が現在の地に社殿を移したという。本殿内部の玉殿の板に、天文16年(1547)の墨書があるので、本殿もこの時の新築と見る説もあるが、構造手法、また蛙股の形式から、天文年間よりも少し古い時代、室町時代中頃の建造と見る説もある。
古熊神社楼拝殿(国指定重要文化財)
この拝殿はもともと楼門として建築された。桁行一間、梁間一間の楼門式建物で、屋根は入母屋造り、銅板葺である。左右に翼廊(よくろう)があり、桁行一間、梁間二間で、屋根は切妻となっている。また正面には一間の向拝がついている。この楼門は下方が通路になっておらず、翼廊とともに全面に床が張ってあって、拝殿と同様な役目をする。