古書店 思源堂書房とは

思源堂書房はネット上の古書店です。この古書店は、店主の蔵書を、その価値を分かち合うことができる方々に、リーズナブルな価格で販売し、科学や文化などの分野の裾野を広げることに僅かでも貢献できればと考えます。それは相当高尚な目的になりますが、現実的には、店主が高齢化してきたことで、三途の川の彼岸の家の書斎には移せない蔵書を処分する終活の一つでもあります。

思源堂書房店主は若い頃から、自然史、動物学、鳥類学などの分野を中心とした生物学を志し、関連する医学、薬学、科学史、科学哲学にも関心を持ち、思索、調査、研究を続けてきました。途中からは茨城県霞ヶ浦の水環境問題に取り組み、市民活動に参画してきました。また、近年は日本古代史にも興味を覚え、門外漢ながら、自分なりに古代の日本のイメージを描きたいと学びを続けています。同時に文学や映画が描く世界にも心を配して、いわば総合的な世界観、自然観、生命観を形成することを目指してきたのかもしれません。その過程で多くの書籍を購入し、知識と考え方を吸収すべく努力を続けてきました。その書籍の中には、現在では手に入りにくい名著や貴重書も数多くあります。

しかし、「少年老い易く学成り難し」、また、「芸術は長く人生は短かし」を実感し、自分の蔵書を処分し(いくばくかの収入もめざしていますが)、人生の整理をせざるを得ない時期となり、断腸の思いで、若い頃に購った本から少しずつ手離すことにしました。

「思源堂書房」の名前は、前記の目的のために便宜的に命名したものですが、中国の金言「飲水思源」から借りています。それは「水を飲む時は井戸を掘った人に感謝しよう」という意味ですが、学問を志す人は先人の学恩を思い、さらに高みをめざして日々努力すべきであることを示唆しています。

思源堂書房の本をお求めになる方は、ぜひ店主の思いをポジティブに受け止めていただき、ご自分の学習に役立て、高い認識を目指すだけでなく、一人の人間が、社会や自然環境に対して、賢明な関係性を作る上で活用していただければ、店主として最上の喜びになるでしょう。

 

令和元年初夏 

湖畔に爽やかな風が吹き、オオヨシキリが囀る日に

 

思源堂書房店主 謹白