建築読書日記(建築に関わる本)
著者一覧 あ行 石田潤一郎、井上正一、犬伏武彦、伊藤ていじ か行 川勝政太郎 小泉和子
北原遼三郎 さ行 前 久夫、砂川幸雄
た行 土田一郎 な行 内藤 昌、西 和夫、中村哲夫 
は行 濱島正士 ま行 宮本健次、三沢 浩、村松貞次郎 よ行 吉田鉄郎、薬師寺厚
 
伝統木造建築を読み解く 著 村田健一 学芸出版社
 古代建築の工法を読み解いています。法隆寺から奈良時代の建築の工法の革新が書かれています。法隆寺時代までの建築の構造的限界が奈良時代に遣唐使によってもたらされた新しい技術に寄って、唐招提寺金堂、東大寺大仏殿が建立されたことが木造建築の構造を読み解くよって解明されています。また、次代に建造物を残すための提案も書かれています。
 
歴博フォーラム高きを求めた昔(いにしえ)の日本人 山川出版社
 古代から高さを求めた日本人が建てた建築を遺跡や現物から技術の推移や目的を国立歴史民俗博物館が開催したフォーラムを通じて参加者の意見が掲載されています。貫の技術や構造の変遷に対する道具の必要性などが書かれている。
 
道具と手仕事 著者 村松貞次郎  中央公論社
 古代から近代までの日本建築の中で使われている大工道具の変遷と、特に縦挽きの鋸と台鉋の歴史を詳しく述べています。
 
室内と家具の歴史 著者 小泉和子  中央公論社
 古代から近代までの日本建築の中で使われた家具の変遷が詳しく乗っています。家具の使われ方によって建築の様式が変わっていくのが詳しく書かれています。また、江戸時代の贅沢禁止のための禁令も書かれています。
 
明治の建築家・妻木頼黄の生涯 著者 北原 遼三郎  現代書館
 明治の建築学会を代表する辰野金吾に対し、官界建築科の代表・妻木頼黄の生涯を書いてあります。旗本の出である妻木の建築に対する考え方が面白い。
 
古建築みかた図典 著者 前 久夫 東京美術
 古建築の細部の見方を図で解説してあります。建立年代の判定となる細部の変遷の解説が少なく、建築の細部を知るのには便利だが年代判定の資料には使いにくい。
 
古建築入門講話 著者 川勝 政太郎 河原書店

 私が古建築の細部意匠の勉強をした時に買った本であるが細部を図で表し、各部の年代による変遷も詳しく解説してあります。ただし、昭和40年の出版なの地方色の記述が無い。

 
近世大工の系譜 著者 内藤 昌 ペリカン社
 信長の時代の大工棟梁から、家康の時代、江戸中期まで大工の名前入りで系譜を解説してあります。有名な建築の多くはこの書に載っている大工達が造っています。
 
日本の伝統工具 著者 土田 一郎 鹿島出版会
 大工道具の蒐集家による大工道具の変遷が書かれています。大工道具に興味のある人には興味がそそられると思います。
 
工匠達の知恵と工夫 著者 西 和夫 彰国社
 色々な話が書いてあるが秀吉の時代の入札の話が面白い。また、屋根の種類によって格式が決まるのも面白い、京都御所では上が桧皮葺きで、次が板葺き、下が瓦葺きとなっている。
 
建築技術史の謎を解く 著者 西 和夫 彰国社
 二条城の方位のズレなど、建築基準、技術の変遷が色々な事例を通して解説がある。寸法の基準も関東と関西では違う。関東では一間は六尺、関西は六尺三寸である。
 
江戸時代の大工達 著者 西 和夫 彰国社
 京都の女性大工の話しからはじまり、江戸時代の日本全国各地の大工の話を集めている。作事方の大工の盛衰や大工の暮らしぶりなど参考になる。
 
文化財探訪クラブ・寺院建築 著者 濱島 正士 山川出版社
 多くの写真を使って寺院建築の細部を紹介している。古建築を理解するのに役にたつが、地方色や、細部様式などの説明が少ない。
 
文化財探訪クラブ・神社建築 著者 濱島 正士 山川出版社
 文化財探訪クラブシリーズの神社編。中身は寺院から神社に変わっているだけ。
 
建築文化はどこへ 著者 三沢 浩 新日本新書
 アントニン・レーモンド事務所で建築を勉強した著者がポストモダンの建築をモダニズムの観点から批判をしている。モダニズムには社会の要求と様式のマッチがあるがポストモダニズムには設計者の主張だけで社会的な様式の要求が少ないと云っている。
 
建築逍遥 著者 長谷川 尭 平凡社
 日本の民芸運動の元になった、アートアンドクラフト・ムーブメントのモーリスや、東京の田園調布の町づくりの原点となったロンドンのハムステッドなど明治から昭和にかけて建築や芸術運動の元になった歴史の原典を紹介してある。
 
物語/ものの建築史・屋根のはなし 著者 石田潤一郎 鹿嶋出版会
 屋根が変わると建築が変わる。平安時代から鎌倉時代にかけて屋根の形の変遷、中世密教建築の出現等の話が興味深い。茅葺き建築の衰退の原因、茅葺き建築の保存に着いて興味深い話が有る。
 
建築家・吉田五十八 著者 砂川幸雄 晶文社
 近代和風建築の泰斗、吉田五十八の事蹟と一生を建築の紹介と共に語る。明治時代より洋風建築の出現と共に、大学等の建築学の主流は洋風から近代モダニズム、そしてポストモダンと進んでいたが和風建築の素晴らしさを近代建築の中に和風の様式を持ち込んだ。
 
つくられた桂離宮神話 著者 井上正一 弘文堂
 近代建築に通ずる美を持っているとされる桂離宮が近代になって、何時から評価されるようになったのかを明治以降の出版物から解析している。明治に入って、外国人美術家により日本美術が世界に紹介され、その中で日本に立寄ったタウトとその関係者の話等為になる。
 
建築家・吉田鉄郎の「日本の建築」 著者 吉田鉄郎 
訳 薬師寺厚 注解 伊藤ていじ 鹿嶋出版会
 この本は1935年にドイツで日本建築を紹介する為に著者の吉田鉄郎氏がドイツ語で発行されたものである。その本を吉田鉄郎氏の没後、弟子の薬師寺厚が日本語に訳したものである。戦前に研究されていた日本建築史の水準を知ることが出来る。
 
明治・大正の建築散歩 西洋館 著者 中村哲夫 淡交社
 北海道から九州まで日本の西洋館を写真と文で紹介してあります。その多くはもう文化財に指定されています。洋風建築に興味の有る方には参考になると思われます。
 
建築家秀吉 遺構から推理する戦術と建築・都市プラン 著者 宮本健次 人文書院

 墨俣の一夜城で有名な豊臣秀吉の建築家としての技量、姫路城、大阪城などの城郭建築、大阪の都市プランや伏見での町の改造など秀吉を建築家として見た著者がその遺構をとおして建築、都市計画を見直したものである。

 
民家と人間の物語 愛媛・古建築の魅力 著者 犬伏武彦 愛媛新聞社
 愛媛の古建築を調査した経験からこの土地で活躍した宮大工や一般の大工、優秀な建築を施行させた施主の魅力などが社寺建築や民家建築をとおして語られています。
 
 
 
2005.9.01