列島古建築紀行 第8回

  
写真・文 宮本和義
  撮影:2002.04

角田の名刹 -高蔵寺阿弥陀堂- 宮城県角田市高倉  竣工/治承元年(1177/平安後期) ★国指定重要文化財

阿武隈川下の下流、角田市の古木に囲まれた山中にある勝楽山高蔵寺は、弘仁10年(819/平安中期)に徳一菩薩が創建したと伝えられる古刹である。阿弥陀堂は治承元年に藤原秀衡の妻らによって創建された。堂は方三間、宝形造、単層、茅葺で、太い円柱に支えられた力強く簡素で美しい御堂である。宇治平等院等と共に日本最古の七阿弥陀堂の一つに数えられる。平安時代の建造物は全国でも26カ所残るのみで、東北では岩手県平泉の中尊寺金色堂、福島県いわき市の白水阿弥陀堂とこの阿弥陀堂だけで、県内現存最古の木造建築でもある。本尊の阿弥陀如来坐像は平安末期の作と言われ像高2m70cmで国重要文化財。傍らに安置される破損仏(阿弥陀如来)も本尊に優る魅力的な彫像である。


 

 
2019.11.20