011・万福寺のみほとけ

高浜街道を東に向かい、ばらき台団地の入口付近に万福寺があります。万福寺は文明12年(一四一八) 83日、常陸在庁官の税所(さいしょ)貞成氏が開祖となりました。そして、稲敷郡美浦村舟子の海源寺二世、月海遠村大和尚をお願いして開山されました。

 税所氏は、国内の正税や官物の収納をつかさどる官職であり、今でいう税務署の役人のような役職でした。寺の裏には、税所氏代々の墓地があり、五輪塔数基の外、多数の石塔が建っています。また、税所氏は百済の朝臣であることが寺にある位牌に善かれています。

 本尊は善光寺式銅造阿弥陀如来立像で、昭和40224日、県指定文化財になっています。それぞれの高さは、中央の本尊が492Cm、観音菩薩が338m、勢至菩薩が335Cmです。善光寺式三尊像の基準作といえる一つで、三つとも渡金がかなり残っており、保存状態が見事です。

 中尊像の台座に立てた心木には、永仁3年(一二九五) 318日に、この三尊の造立供養が行われたことが刻まれています。また、阿弥陀如来様が信州善光寺に祭られるようになったといわれ、「茨城村光林山万福寺の阿弥陀如来様も同様極楽浄土の教条でありますので、真実をこめてお参りして大願成就しましょう」

 と、当山五世桂峰丹和尚が元禄5128日に書いた、新善光寺如来略縁起の巻物があります。

 万福寺の境内には、石座像護身地蔵尊や石立像水子地蔵尊などが祭ってあります。このように、万福寺には様々な文化財や歴史の匂いが残されており、その中でも本尊である阿弥陀如来三尊像は、石岡を代表する由緒ある気品を備えたものといえるでしょう。

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